
石川県金沢市に佇む、北欧の"ヒュッゲ"を体現するロングステイホテル「LINNAS Kanazawa」。開業から5年、客室のリニューアルを重ねながら、直販率は近隣競合の中でも高い20〜30%をキープしています。開業準備の段階からCHILLNNを選び、歩んできた同ホテルに、コンセプトづくりの背景と、直販を支える運用の工夫を聞きました。
LINNAS Kanazawaについて
石川県・金沢市に位置する「HYGGE(ヒュッゲ)」がコンセプトのホテル。40室。
[公式サイト]インタビューしたお相手:松下秋裕さん
Linnas Kanazawaを運営するホスピタリティーカンパニー Linnas Design代表。 東京出身。
▼マネージャーの川勝さんと一緒にお話いただきました

北陸の「ヒュッゲ」なホテル
ーーLINNAS Kanazawaのコンセプトを教えてください。
僕自身は東京生まれ東京育ちで、エストニアに留学していたという変わった背景があるんです。10年くらい前に初めて金沢に来たときに、「北陸ってすごく北欧っぽいな」と感じたのが最初でした。北欧のかっこよさとか、自分たちの暮らしをすごく楽しんでいる感じ、寒いけど「俺たちこういう過ごし方をしていて、これって豊かでしょ」って自分たちのライフスタイルに誇りを持って生活に取り入れている様子が、北陸とすごく重なって見えたんです。
だったら、地元の人にも「自分たちの暮らし方ってかっこよかったんだ」と思ってもらえるかもしれないし、外から来た人にも「北陸・金沢の暮らしってめちゃめちゃかっこいいよね」と思ってもらえたらいいなと思って。なんとか北欧のかっこよさをコンセプトに取り入れられないかと考えていたときに、ぴったりハマったのが「ヒュッゲ」という言葉でした。

ーー「ヒュッゲ」という言葉には、どんな思いが込められているんですか?
デンマーク語で「日常の中に幸せを見出す」というような意味の言葉なんですが、実際に僕がデンマークに行くと、1日に10回も20回も普通に使われているくらい生活に根づいているんですよ。おじいちゃんおばあちゃんも「ヒュッゲだね」って言っている(笑)。その北欧的な価値観を金沢・北陸に重ねて、地元の人にも、外から来た人にも「この暮らし方ってかっこいいよね」と思ってもらえたらいいなと考えています。
ーー宿づくりで意識していることは?
建物自体をあえてカジュアルなセットアップにしていて、訪れる人の「鎧」をどう脱がせられるかをずっと考えてサービスを設計しています。いわゆる"超接客"感を出さずに、友人が友人をもてなすくらいの温度感でコミュニケーションを取れるように意識していますね。そういうところでもヒュッゲを意識しています。
▼代表自らコーヒーを淹れてくださいました

ーー具体的には、どんな工夫でその距離感をつくっているんですか?
毎月ヨガのレッスンをやっていたり、活動しているアーティストさんに滞在してもらいながら作品を作ってもらって、入り口に展示するレイアウトを定期的に開催したりもしています。予約時の事前質問も、堅苦しい確認事項というよりは「うちはこういう宿だから、ここは勝手に来てくださいね」というくらいの、期待値をすり合わせる感覚で使っていますね。
あとはお部屋にケトルとかが全部あるわけではないので、朝はみなさん必ずラウンジにおりてきて、そこで料理したりするんです。そうすると会話はお客さん同士で自然に始まっていて。長期滞在の方が、来たばかりのゲストに「ここが良かったよ」って教えてあげているのを見ると、どっちが宿の人なのかわからなくなるくらいですね(笑)。
▼ゆったりくつろげるラウンジ

オプション販売の届けかたへのこだわり
ーー開業にあたって、どんなシステムを探していましたか?
ポイントは大きく2つありました。1つはオプション販売をどう訴求するか。プライベートサウナや、当時作っていたフィットネスの有料レッスンなど、宿泊以外の体験価値をどうやってお客様に届けやすくするかをずっと考えていたんです。
もう一つは、長期滞在を戦略的に販売していくために何ができるかです。よくある「長期だから割引します」ではなく、長期滞在ならではの豊かな体験そのものをちゃんとプランとして見せたかった。単なるディスカウント訴求で終わらせたくなかったんです。

システム選定の決め手は宿泊・オプション・決済のUX
ーー実際にどんな機能が決め手になりましたか?
CHILLNNの宿泊→オプション→決済までのUXがすごくいいなと思ったのが1つです。宿泊以外の体験価値を売っていくときに、宿泊を起点にその期間のイベントを提案したり、逆にイベントのチケット販売と宿泊をセットにしたり。ただプランとして作り込むだけじゃなくて、別の入り口から予約した人にも「サウナがあるなら入ろうかな」と思ってもらえるきっかけが作れると思いました。
もう一つはマガジン機能ですね。長期滞在することでどんな豊かな体験ができるかをちゃんとプランとして見せたいときに、マガジンで文章や写真を使いながら「このプランだとこんな体験ができます」と提示できる。私たちが伝えたい情報をしっかり発信できる機能だったので、単なるディスカウントにとどまらない長期滞在の魅力を伝えるという戦略にぴったりでした。

OTAと直販で販売を出し分ける工夫
ーー直販率は現在どのくらいですか?
今は月20〜30%くらいで推移しています。2023年ごろまではGoToトラベルや震災後の応援割といった、公式サイト限定のパッケージ販売に予約が集中する時期もあったんですが、そうした施策が落ち着いた後も数字はじわじわ上がってきていて。金沢のいろいろな宿を見ている中では、比較的直販率が高い方だと思います。
ーーCHILLNNならではの予約の入り方の工夫はありますか?
いわゆる金沢のマス観光の方々がOTAから予約いただいたとき、ミスマッチが起きたり、僕たちのホテルの他のゲストとの相性がうまく噛み合わないことが結構あるんです。例えばビジネスホテルのようなものを想像していらっしゃる方もいれば、逆にラグジュアリーホテルだと思ってご予約くださる方もいて、たまに大きなミスマッチが生まれることがあります。
ただ、CHILLNN経由の予約ではミスマッチが起きないんです。そのため、LINNASだからこそできることかもしれませんが、僕たちは土曜1泊の予約をほぼCHILLNNでしか受けていません。他のOTAは基本的に2泊か3泊以上という条件をかけて、週末だけ1泊の予約はCHILLNNでしか予約できないようにして、ミスマッチを防いでいます。
同様に、サウナ予約についても直販のお客様を優先していて、OTA経由の方はチェックイン日の1週間前から、空きがあれば予約できるという仕組みにしています。
ーーCHILLNNはゲストとのミスマッチが少なく、そのためにGoogleマップの評価が高くなる、という良いサイクルが生まれているという声をよくいただきます。

ーーオプション販売で工夫していることはありますか?
館内着やコンセプトブックなど、私たちがオリジナルで作っているグッズは基本的にオプションで選べるようにしています。グッズは予約時に選んでもらえることはあまり多くないんですが、チェックイン当日でも追加で設定できるので、まずは「こんなものがあるよ」と知ってもらうきっかけとして置いている、という感じですね。
なかでも一番多いのが枕のレンタルです。これは「ヒツジのいらない枕」というメーカーさんとタイアップして、彼らの枕をお預かりして無料でレンタルするという条件でやらせてもらっていて。価格以外のところで公式サイトに繋げる訴求ポイントを作りたくて、あえて0円のオプションにしているんです。日本人のお客様にはすごく好評なんですが、インバウンドのお客様には合わなくて、一度デフォルトで設置してみたら悪いレビューをいただいてしまったことがあって。それで、必要な方だけオプションで選べる形に戻しています。
▼実際の画面を見つつお話いただきました

ーーCHILLNNの操作面はいかがですか?
他のシステムと比べても自由度は高くて、予約内容の変更なども柔軟にできます。日別の売り止めなどは他のスタッフも触るんですが、操作方法自体はシンプルなので、新しいスタッフでもすぐに使えるようになるのがありがたいです。
周年イベントに来ていただいた方にお土産としてディスカウントコードをプレゼントとして利用したことがあります。実際にディスカウントコードを利用される方もおり、宿泊のきっかけ作りになっています。
長期滞在をより届けられるホテルに
ーー今後、力を入れていきたいことはありますか?
今後も長期滞在のプログラムを核に、ゲストの金沢での滞在がより豊かな時間になるよう努めていきたいと思っています。ゲストにはライフスタイルホテルとしての宿泊をお楽しみいただき、また、街の中の人にとっては地域のハブとしてLINNAS Kanazawaを利用してもらえればと思います。

北欧の"ヒュッゲ"を体現するあたたかな空間と、気さくに迎えてくださるお人柄が印象的でした。これからも、多くのゲストがその居心地の良さに惹かれて訪れることは間違いありません。
Editor

佐々木 みいむ
取材/執筆
CHILLNN フィールドセールス。ブランディング会社での経験を活かし、宿泊施設への導入提案から、運用開始後のサポートまでを担当。

小林 実可子
執筆/撮影
CHILLNNリサーチャー。マーケティングリサーチ会社での経験を強みに、各種コンテンツ制作を担当。

田井中 美鈴
取材/撮影
CHILLNN インサイドセールス。ホテル・宿泊施設の運営やスタッフマネジメントの経験を経て、現在は導入検討中の宿泊施設からの問い合わせ対応やサポートを担当。
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