
伊豆高原に3棟展開する一棟貸しのセルフオーベルジュ「Hiire(ひいれ)」。囲炉裏でみずから食材に火を入れる滞在体験を軸に、東急グループ社内の新規事業チーム「青鳩(あおばと)」が手がけています。
2026年3月の開業直後は稼働率50%前後だったが、8月にはほぼ満室となる95%まで上昇しました。あえて「東急」の名を前面に出さず、一点物の世界観を貫くことを選んだ宿作りについて、プロジェクトメンバーの渡邉さんに話をうかがいました。
Hiireについて
静岡県伊東市に位置する一棟貸しのセルフオーベルジュ。2026年開業、3棟。
[公式サイト]インタビューしたお相手:渡邉雄一朗さん
青鳩プロジェクトメンバー。東京都出身。
▼渡邉さん

風土に火入れする宿「Hiire」
ーー都市開発を手がけてこられた東急様が、Hiireを始められたきっかけを教えてください。
もともと僕たちは東急沿線の駅前再開発など、都市の大規模開発をやってきたチームだったんです。ただ、都市への一極集中という社会課題が生まれているなかで、自分たちのやっていることが時代と若干ずれてきている感覚があって。
一方で地方に目を向けると、面白いけどまだ発見されていない魅力がたくさんある。その土地の良さや美しさを、宿に泊まることで感じてもらえる体験ができたらいいなと思い、社内の新規事業提案制度で社長に提案したのが始まりです。
2024年2月に提案して、社内チーム「青鳩」を立ち上げ、そこから2年かけて開業まで進めてきました。

ーーあえて「東急」というブランドを前面に出していないのはなぜですか?
バケーションレンタルや宿って、ブティック感や一点物感がすごく良いと思っているんです。大企業や鉄道会社としての東急という冠を掲げると、東急のブランドイメージが先にきてしまうこともあるんですよね。
そのため、あえて社名はあまり出さずに、自分たちがやりたい世界観をまずチーム名として「青鳩」にして、そこから事業を作っていきました。
▼青鳩の公式サイト
https://ao-bato.com/

3月に開業し、8月はほぼ満室に
ーー開業から半年ほど経ちましたが、稼働率と直販率はいかがですか?
開業が3月中旬だったので、実質4月からのスタートでした。4〜6月は社内の試泊なども含めて稼働率50%前後、それから上がっていって、8月はほぼ満室の95%まで来ています。
直販率は平均20-30%です。ようやくOTAや自社サイトを含めて認知されてきた実感がありますね。
▼オリーブ園が目の前に広がるHiire IZU OLIVE

ーー順調に稼働が上がっているのですね。工夫されたことはありますか?
開業初期はOTAに注力し、認知と稼働率を確保することを意識しました。認知が広がってきたところで徐々にCHILLNNに力を入れて、自社予約の割合を増やせるようマーケティング施策を実施しています。
▼こんもりとした大室山を望むHiire IZU OMURO

ーー宿泊されるゲスト層はいかがですか?
ファミリー層とカップル利用、あとは20代前半から30代前半くらいの友達グループが多いです。当初想定していた層とかなり近い印象です。最大8名まで泊まれる宿ですが、平均の宿泊人数は3.5人から4人ちょっとくらいです。
tiktokのインフルエンサーに協力いただいたり、OTAでディスカウントをかけたこともあったので、若いゲストのご利用も多かったです。
▼海への抜けが気持ち良い、Hiire IZU FUTO

大人数で賑やかに楽しめる宿でもあるからこそ、CHILLNNの事前質問で、騒音やマナーについての注意事項を必須項目として同意していただけるのは助かっています。OTAだと読んでいただけたか分からないことが多いので。
▼事前質問ページ

デザインの自由度がCHILLNN導入の決め手
ーー予約システムを検討するにあたって、どんなところに悩まれましたか?
最初の新規事業だったので、東急ホテルズ&リゾーツが使っている大きなホテルブランド向けの予約システムではなく、自分たちの規模や世界観に合うものを一から探す必要がありました。わかる会社さんはほぼすべて当たったと思います。
ただHiireがデザインや世界観にこだわっているなかで、予約サイトからユーザーとして予約しようとするといきなり「はい、予約してください」というパッケージに飛ばされてしまって、少し興ざめしてしまう。自分たちの世界観を崩さずに予約までつなげられるシステムが、なかなか見つからなかったんです。
▼Hiire IZU FUTOの予約ページ

ーー比較検討される中で、CHILLNNに決めていただいた理由を教えてください。
一番はデザイン面ですね。他社さんはトップページの写真だけ変えられます、というところが多かったんですが、中のページも自分で作成して自分たちの世界観をそのまま出せるという融通の利かせかたはCHILLNNが大きく違いました。
あとは予約の動線がすごくスムーズで、カレンダーを押せば料金がすぐ出てくるし、プランや人数の設定も複雑にならずシンプルに使える。
ユーザーとしても使いやすいし、事業者としても世界観を崩さない。この2点が大きな決め手でした。
▼オプションも活用いただいています

裏側の操作のしやすさに助けられている
ーーCHILLNNをご利用いただいて、特に役立っている機能はありますか?
裏側の操作のしやすさがすごく良かったです。設定もしやすいですし、変更もすぐ自分たちでできます。OTAなどの他のシステムを使ってみて、システムの裏側の使いやすさって本当に大事なんだなと痛感しました。お客様には気づかれない部分ですけど、運営側としてはすごく助かっています。
▼管理画面(一例)

ーープラン設定の面ではいかがですか?
プレオープン期間の試泊会では、シークレットプランをCHILLNNスタッフの方に教えていただきながら作りました。今は社内の福利厚生として、チームメンバーが使えるような非公開プランも検討中で、そういうオープンにしないプランも違和感なく作れるのがいいですね。
伊豆高原全体の課題として平日の稼働を埋めることがあるので、曜日を指定して平日だけ安くするプランなども作っていますが、曜日指定がすごく簡単なので作りやすかったです。
ーー住所入力が不要な設定にされているのも印象的でした。
予約が入ると、セルフチェックインシステムのminpakuINからお客様に通知が届いて、そこで住所や年齢などの情報を入力していただく流れになっているんです。予約のタイミングで同じ情報を2回入力させるのはスムーズさを欠くので、CHILLNN側では決済情報だけにして、住所の入力は省くようにしました。
▼住所入力を省略した予約内容確認ページ

地域の魅力を伝える宿として育てたい
ーー今後、Hiireとしてどのように展開していきたいですか?
10年で100棟を目指したいと思っています。理念ややりたいことは変えずに、施設ごとにバリエーションをつけながら増やしていきたいですね。特に「食」の体験はもっとリッチにしていきたいなと。無人運営という形なので大変なことも多いですが、地域の魅力を伝える宿として育てていきたいです。

都市開発のプロフェッショナルでありつつ、地域の魅力に真摯に向き合う「青鳩」チームの皆さま。その情熱によって、Hiireがこれからも多くのゲストに愛される宿になっていくことは間違いありません。
伊豆高原から灯った火が、10年後には100棟に広がるよう、精一杯サポートさせていただきます。
Editor

佐々木 みいむ
取材/執筆
CHILLNN フィールドセールス。ブランディング会社での経験を活かし、宿泊施設への導入提案から、運用開始後のサポートまでを担当。

小林 実可子
執筆/撮影
CHILLNNリサーチャー。マーケティングリサーチ会社での経験を強みに、各種コンテンツ制作を担当。
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